絶愛

 一昨日の午後から夜中にかけて
絶愛/BRONZE 完全版』(尾崎南)を一気読み。
ええ、Kindle版全20巻の一気読みです。

少し前から気になっていた作品なのですが
絵がどうしても苦手で二の足を踏んでいました。

しかし少女漫画雑誌に初めて掲載されたBL漫画と知り
これはマストだな…と意を決して読み始めたら、止まらない!
予想外のストーリー展開で、絵に意識が向かない!
モノローグが多くて文字を追うため、絵どころじゃない!

同性の恋愛への偏見まみれなセリフに時代を感じつつも
これを一般商業誌で掲載しようと決めた編集者の度胸と手腕に
あの頃の編集者らしさを感じたりもしました。

この作品の連載が始まった頃、私は音楽雑誌の仕事を始め
仕事に集中するために漫画断ちした時期です。
「欲しいものを得るには好きなものを一つ捨てる」的に。

仕事を充実させるためのある種の願掛けでもあったのですが
仕事で接する音楽の量と時間が格段に多くなったために
漫画を入れる余裕がなくなったのも理由の一つでした。

それにしても、この作品は濃厚です。
疲れた脳みそを解すためによく読んでいる最近のBL漫画は
軽いタッチが主流だと改めて気付いたほどです。

私を含め、あの頃の多くの若者の心の奥底には
「世間が理解してくれなくても自分はこれを頑張る」的な
意識や思いがあったと思います。

社会の“足りないもの”を自分なりに“埋めていく”時代であり
創造の余地がたくさん残されていたこともその要因でした。

そして天才たちが便利な機械を発明し、それが浸透して
生活スタイルが一変するのを経験できた時代でした。

あの頃の“発明”が今では生活の“必需品”となっており
現在の“発明”はその上に成り立ち、形が変わっているわけですが
今の若者も数十年後に私と同じ感覚を覚える時期が来るのでしょう。

そうやって考えると、いつの時代も
「成熟に向かう未熟な何か」が必ず存在していて
形や内容は異なれども、自分自身と社会の成熟課程が
相互にリンクしている事実を『絶愛』読了後に気づきました。

自分が育った時代が最も近い存在ゆえ
それがベストな時代と思い込みたいのも理解できます。
実際、私もそう思いたいときが時々ありますから。

でも、いろいろな時代背景で育った人がいるからこそ
どんな方向であっても世の中の成長と変化が止まらないし
停滞する時期があっても必ず突破口が開くわけです。

後から思うと停滞時期は静かな熟成期間であり
ある程度の経験を経て振り返ったときに得る感想が
新たな気付きを与えてくれるのだと思います。

目がショボショボになったけど一気読みしてよかった!
この作品、まだ読んでいない人にオススメします!!!



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