翻訳テスターになりたくないかも……

今週は体調までも梅雨空チックでしたが
何とかだましだまし元気を引き出しながら、ゆっくり仕事しています。

今朝起きたら、夜中に欧州の翻訳会社からメールが届いていて
先週納品した官能短編集のフィードバック読んで訂正よろしく、と。

担当者は「とてもとてもポジティブなフィードバックよ」と大喜びですが
フィードバックを読んで「ああ、やっぱりね」と思いました。
文法は一箇所だけ格助詞の使い方が間違っていると指摘されただけですが
それ以外の指摘は以下の通り。

1. この類いの小説では明らかに女性だと分かる文体にすべき
 (女性らしさがなくて男性的な文章がある点がダメ)
2. 古いイディオムを使用している
 (対象年齢である20〜50歳女性が使わないイディオムは使っちゃダメ)
3. 翻訳が正しくない箇所があるが本文への大きな影響はない

こういうフィードバックをするのが翻訳テスターの仕事ですよね?
上のフィードバックは英文だったので、英語話者が書いたものなわけです。
ということは、その人、翻訳もできる人なのかしら??

確かに女性向け官能小説なので語り部が女性のことが多いのですが
前回も今回も男性が語り部の小説もあったし
今回なんかは男女が交互にナレーションを行う小説もありました。

前回同様、最初に英語版を最後まで読んで全体の雰囲気を掴んでから
語り部の一人称を決めたのですが、これがけっこう大変でした。
原作から英語への翻訳があまり上手く行っていない箇所が多々あって
肝心なところで意味不明になり、脳内補完しながら読む必要があるんです。

翻訳が「正しくない」は、全体を流れる文章にするために
意図的に英語からの連想ゲームで言葉を選んだ箇所や
どんなに考えても意味不明のため
読者の理解の範囲を広げる曖昧表現にした箇所を指しているのでしょう。
はい、これ、全部意図的です(笑)。

古いイディオムも意図的です。
20〜50歳の女性が使うイディオムって幅が広いはずです。
あえて古い言い回しや表記を素敵に使う椎名林檎ちゃんだっています。
古くても美しい表現方法は使うべきだと思います、私。

そんなことを踏まえて、上のテスターさんのフィードバックを読むと
この方の「女言葉に対する固定概念」がちょっと古い感じがします。

実際、現代の日本女性は昔ながらの女らしい言葉遣いなどしていないし
「明らかに女性と分かる話し方」自体が過去の遺物という感じがします。
言葉のアップデートしてないのかしら、このテスターさん?

想像するに、典型的な文体や言い回しに落とし込んだほうがラクで
そうやってテスターという仕事をしているのでしょうが
なんだか、読者を小馬鹿にしている感じがして嫌ですね、こういうのは。

こういう人がテスターをしているというのを知って
今、テスター仕事のトライアル提出をずっと待ってくれているクライアントに
もう一度断りを入れようかなと考え始めました。
こんな鈍感な人と同じ土俵に立ちたくないというのが一番の理由ですわ。

いや、ほんと、翻訳者、テスター、作家、編集者などの
言葉を使うことを生業としている人は言葉に敏感じゃないとダメですよ。
なんか、朝からガッカリです、トホホ。

まっ、そんな嫌な気分もTeen Topの新曲倍速ダンス↓で笑ったら消えたので
今日も地味に仕事しま〜す!




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