透明な翻訳


幾つになっても褒められると嬉しいものですよね〜♪

昨日はある電子書籍の説明文の英訳を担当くんに褒められて
思わずニマァ〜ッと締まりのない笑顔になっちゃいましたわ。
これ、予算が少ないゆえ今のところノーギャラでやっているのですが
今後は少額でもギャラを支払いたいと言う担当くん&彼のボス。
その気持ちが嬉しいので少額でも問題なしですわ(笑)。

英訳といっても、書籍の説明文というのは宣伝 的側面もあるため
日本語の説明文を基にして、ネットで少々情報収集なんぞをしつつ
セールスポイントがはっきり分かるような英文を作るのです。
長すぎると読みにくいけど短すぎると味気ないので、適度な長さを探り
原文とは異なる文の流れと改行で目に優しい読み易さも演出 (^^)v

そんなふうに読み手のことを考えながら言葉を紡ぐというのは
楽しい作業なので、書籍の説明英文作りは案外好きなのですよ。
私にとっての翻訳作業は常に自分が作る文章を読む対象がいるわけで
その人たちが理解し易く、流れの良い文章を心掛けるわけです。
っていうか、それが普通ですよね? 違うのかなぁ?

以前どこかで読んだのでウロ覚えですが
「透明な翻訳」の定義が日本と海外では異なるらしいです。
日本はovert translationと言って、原文が透けて見えるのが透明な翻訳。
海外ではcovert translationと言って、原文が透けて見ないのが透明な翻訳。
つまり海外では日本で言う「超訳」に近い方が良いとされているわけで
私もそっちの方が言葉の役割に沿った透明な翻訳だと思っている んですよ。

先日ある仲良しさんから教えられたのですが
彼の知り合いが翻訳会社にアメリカ人から届いた英文メールの和訳を頼んだところ
「physical」というたった一つの単語が文脈の中でどういう意味なのかを
担当した翻訳者が理解できなかったらしく
その翻訳者の想像を基にした奇天烈な翻訳が仕上げってきたそうです。

また、その仲良しさんが自分の会社の海外渉外担当さんに翻訳を頼んだところ
「DL」をそのままDLと書いてしまい、その翻訳文を送った相手から
「こりゃ何だ? どこかの通貨か?」と聞かれたとか。
「download (DL)」と書けば問題なかったのにねぇ(苦笑)。

physical誤訳の翻訳さんもDLそのまま渉外さんも確認しなかったんですかね?
単語や略語は使われる業界によって意味が違ってくることがあるので
意味や使い方が不確かな時はネットで色々探る作業を挟みます、私なら。
それでも分からなければ、原文を持ってきた人に確認します。
一つの言語をもう一つの言語に置き換えるのが良い日本的透明な翻訳では
私は満足できないので。

上記の2人は自分が翻訳するという事実だけに意識が行っている気がします。
つまり「翻訳する」段階で自分の役目が終わっていて
その先に必ずいる「その翻訳文を読む相手」が不在なんですよ。
単純に仕事として考えた場合、さらに日本的透明な翻訳に照らし合わせると
間違いではないでしょうが……。
そういう意識の人が「翻訳できます」とか言うと正直ちょっと不愉快だな。

「翻訳する自分が超クール!」と思いたい翻訳者の数が減って
「自分はイタコさ」と思える翻訳者が増えることを日々願っております。
いや、ほんと、この仕事は自分の気配を消すのが本分ですから☆



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